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薄肉ダイカストの湯流れに着目する~①~
ダイカスト技術は金型技術の発展により、従来よりもより薄肉の製品を生産できるようになりました。そのためダイカスト技術の需要は年々高くなっています。従来の製品の精度をより高めるためだけではなく、より軽量化させるためにダイカストで部品の生産を行う企業が増えてきたのも事実でしょう。
ところで具体的にどのくらいの肉厚が要求されているかご存知でしょうか?今回は2回に分けて薄肉ダイカストについてをご紹介いたします。
例えばアルミダイカストで生産されている部品の代表的なもののひとつ、自動車部品に関して言うと薄肉といっても3mm~5mm程度なのでそれほど薄すぎず、加工する時に重大な問題が起こる事はありませんでした。
自動車部品と同様にダイカスト技術が使われているのが家電製品やパソコンなどの精密機械です。それでも1mm~3mm程度なので技術的にはそれほど問題は起こりませんでした。
ところが最近では1mm以下や0.5mm以下という指定が出てくるようになったのです。もちろん金型の技術の発達によって、薄肉であっても加工を行うのは理論的には可能です。
ですが、ダイカストは解けた金属(主にアルミや亜鉛合金やマグネシウム合金)を金型に流し込んで部品の生産を行います。この時に湯流れが原因で不良の製品を作ってしまいやすいのです。
湯流れとは溶湯の流動性の事を指して言います。湯流れが悪いと薄肉の製品がせっかくできても本来の役目を果たせない事もあります。湯流れの低下による欠陥は以下の通りです。
・ひずみや変形してしまうので欲しい寸法精度が出ていない
・湯流れによる変形やひずみのせいで強度や剛性に問題が出る
・酸化膜の巻き込みが起こりやすくなり製品の強度が低下する
・超薄肉の金型は高い技術が必要でコストがかかる
このような問題が起こるため、ダイカストで超薄肉の製品の生産を行う時には様々な工夫をする必要があります。