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金属の性質を向上させる「熱処理」
金属加工には様々な技法を使って製品の生産をします。
その加工の中で【熱処理】というものがありますが、熱処理はどうして行われるものなのか?
その結果どんな成果が得られるのかを簡単にお話いたします。
物質は熱を加えると別のものに形を変える性質があります。
例えば料理がその代表的なものですね。生のお肉に熱処理を加えると美味しく食べられます。卵なら熱を加えると卵焼きなどに変化しますよね。
実はこれと同じで金属も熱処理をする事によって金属の性質が変わるのです。
熱処理によってどのように性質を変える事ができるのかというと、強度、硬さ、粘性、摩耗性、腐食性、被削性、耐衝撃性、冷間加工性などです。
例えば加工した金属が錆びやすいという性質であったならば、熱処理を加える事によって錆びにくい性質に変えられたり、熱処理によって硬度を上げる事も可能になるのです。
このように熱処理を行う事によって、必要な性質を手に入れる事が可能となる熱処理は、金属で製品をつくるのに重要な役割を担っているのです。
ちなみに熱処理も一つではなく、その金属の性質を引き出すためにいくつかの技法があります。『焼き入れ』『焼き戻し』『焼きなまし』『焼きならし』などがあります。
熱する事によって硬度を出したり錆びにくくしたりするのはもちろんですが、表面を均一化するために熱処理をしたりもします。
硬さが必要になるなどの場合には、いったん焼き入れをして焼き戻しを行う事で微調整する事も可能になるのです。金属は熱して冷やす事でより硬さを増す事ができるという性質を利用しているわけです。
ただし金属にはそれぞれに溶融温度というものがありますので、金属の種類や金属事の溶融温度を知っておく事が重要です。
さらに表面だけを熱処理する加工を『表面熱処理』硬度を出したりする熱処理を『全体熱処理』と言います。
部品全体の変化が必要な時には全体熱処理、表面だけに変化が必要な時には表面熱処理をすれば良いわけですね。
製品に必要な性質を引き出す熱処理は、今も昔も金属加工には必要な技術なのです。