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技術情報・技術コラム
column

2022.03.14

ロストワックス鋳造金型について

こんにちは。ロストワックスコラムです。

今日はロストワックス鋳造に用いられる金型についてお話ししようと思います。

ロストワックス鋳造ってワックスモデルにセラミックコートして、
鋳型を作るんだよね。金型なんて使わないでしょ。

そうですね、実際の鋳造工程に金型なんていりません。

ロストワックスで言う金型は、いっちゃん最初のワックスモデルを
作るためのモデル成形用の金型なんですね。

溶けたワックスを流し込んで、製品と同じ形状のワックスモデルを
たくさん製造するための金型になります。

溶けたワックスですから、樹脂の射出成型や溶けたアルミのダイカストのように
鋳湯する材料の温度は比較的低い物になります。

参考に温度を書いてみると、
樹脂・・・・・・・・・・・・・・・160℃~350℃(材料が多岐にわたるので幅が広い)
アルミ・・・・・・・・・・・・・・約700℃
ロストワックス鋳造用ワックス・・・・・約55℃
セミロストワックス鋳造用ワックス・・・約35℃

どうですか、めっちゃくちゃ低いでしょ。カップ麺もできない。(笑)

ですから、金型に使う鋼材もそれほど硬い金属でなくても良いわけです。

ロストワックス鋳造金型に使用するアルミの種類

で、何を使うかですが、「アルミ」です。
ただし、アルミと言ってもたくさんの種類がありますよね。

どんな種類があるか挙げてみましょう。

1000番台

まず、純アルミと言って、業界では「1000番台」という材料があります。
これはめちゃめちゃ柔らかいです。カッターでさくさく削れます。
導電性や熱伝導性は断トツに良いのでヒートシンクなどに使用されています。
でも、さすがにこれは金型材料としては柔らかすぎますね。

5000番台

次に有名なのは「5000番台」と呼ばれるアルミです。
これは純アルミにマグネシウムを添加した材料で、耐食性や硬度が高くなり、
機械加工切削性が良いです。
アルミの機械構造物には最も使われている材料になります。
でも、まだこの程度の硬さじゃ耐久性がないんです。

2000番台

では、メジャーな所で「2000番台」はどうか。
一般的には「ジュラルミン」や「超ジュラルミン」の方が名前が通っています。
そうです、あの機動隊がもっている盾ですね。(笑)
この材料は強度を上げるために純アルミに銅がたくさん添加されています。
ただし、銅のおかげで酸化しやすく、耐食性が劣るんです。
つまり、金型に使うにはちょっと向かないですね。

ここまで説明読んでビビッときた方は冴えてます!(笑)

7000番台

アルミ系で強度があって、耐食性も優れているというと、
「超超ジュラルミン」と呼ばれる「7000番台」があるではないですか。
この材料には、マグネシウムと亜鉛が添加されており、さらに熱硬化させる事が
可能な材料になります。
また、溶接が難しいアルミ材の中でも、溶接後も常温時効し強度が回復する
特徴もあります。
というわけで、ロストワックス鋳造用ワックスモデリング金型(長い!)の材料は

「超超ジュラルミン」を使用しています。

といっても、どれくらい硬いのか、一般的な射出成型金型やダイカスト金型との
硬さ比較をしてみましょう。

ブリネル硬さで比較します。
ブリネル硬さ試験は超硬合金で作られた球を材料に押し付けて、
できた圧痕の表面積(a)で押し付け力(F)を割ったものです。

式で書くと、ブリネル硬さHBW=F/a

つまり、ブリネル硬さHBWが大きければ大きいほど硬い材料という事になりますね。
では、比較です。

超超ジュラルミン・・・HBW80
S45C・・・・・・・HBW167~229(焼きならし硬さ)
SKD61・・・・・・HBW229(焼きなまし硬さ)
SKD11・・・・・・HBW250(焼きなまし硬さ)

そうなんですね。樹脂射出成型金型やダイカスト金型の1/3程度の硬さしかありません。
でも鋳湯の温度差を考えると、余裕のよっちゃんかなという硬さですね。

ですから、金型を切削するのも速くできますし、切削工具の寿命も長くなるため
金型費が非常にお安くできるのです。

ロストワックス鋳造金型の構造

さて、金型材料が分かったところで、金型の構造についてお話ししておきます。

ロストワックス鋳造では樹脂の射出成型やダイカストのように
大きな成形機で、高温高圧で樹脂材料や溶けた金属を金型に流しこむ必要はありません。

ロストワックス鋳造なら、注入圧も大きくはないので、小型の注入機で良いですし、
型締めも型開きも人力でおこないます。

したがって、射出成型やダイカストの金型のように母型にキャビティを組込んで
母型を成形機にガッチリ組付ける様な構成ではありません。

簡単に言うとキャビティ―だけで構成され、固定側・可動側をネジ締結している
構造になっています。

最後に

というわけで、今日はロストワックス製法に用いる金型ということで、
ワックスモデル成形用金型の材料についてお話ししました。

お安く、早くできる一因がご理解いただけたかと思いますので、
「これはロストワックスを試してみる価値があるぞ!」思われたあなた。
ぜひ一度、太陽パーツにご相談ください!

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