ロストワックス鋳造とダイカスト鋳造の違い
みなさん、こんにちは。
今日はベタな内容でお送りします。w
お題は「ロストワックス鋳造とダイカスト鋳造の違い」
「そんなことはわかってるわ!」と、心の中でつぶやいたあなたのために、
めずらしく目次を書いてみました。
わからない所だけでも読んでもらえると執筆者の私はうれしい!笑
- できない形はないんだよ!
- なんでも受け入れてしまう!
- 金型が硬いとは限らない?
- どんだけ貼り付けんねん!
- お手間取らせてお高いんでしょ?
- やること多くてなかなかモノができてこないんでしょ?
どうですか、読みたくなったでしょう。w
それでは、はじめましょう!
できない形はないんだよ!
ダイカストはご存じのように、金型を割る方向にしか穴や突起はできませんね。
もちろん横穴開けるには、スライドコアを入れるなど様々な仕組みが開発されています。
だがしかし、機構が複雑になればなるほど、金型費が跳ね上がってきます。
そのくせ、三次元形状の複雑なアンダーカットになると、正直できない形状も
出てきますね。
ところがロストワックス鋳造であれば、アンダーカットでも、中空でも、それが三次元であろうとも
3Dプリンターで作れる形状なら、どんな形でも作れるんです。
つまり、物体としてモデルを作れるなら、絶対鋳造できるのがロストワックス鋳造なわけです。
では、「そんな複雑なモデルを作るのどうするのよ?」と思われるでしょう。
ロストワックス鋳造のモデルは文字通りワックス(ロウ)ですから、複雑な形状も
部分部分で製作して接合する事が簡単なんです。
ちょっと溶かして貼り付けていけばどんな形状も作れますよね。
また、ロストワックス鋳造の金型へのワックス注入は大がかりな段取りも必要なく
比較的簡単です。ワックスモデルがそのまま製品になるわけですから、
金型の出来栄えもすぐに確認できてしまいます。
なんでも受け入れてしまう!
ダイカストで鋳型できる金属は、アルミ、亜鉛、マグネシウムがほとんどです。
これ以外の金属では融点が高すぎて、金型そのものがもたないのです。
ところがロストワックス鋳造の鋳型はセラミックスで構成しますから、
少々温度が高くても、溶けたり壊れたりすることはありません。
そりゃ、セラミックスはそもそもお茶碗と同じ焼き物ですからね。
ですから、鉄、それも硬い硬い炭素鋼や、ステンレス、黄銅、チタン、貴金属等
何でも受け入れちゃいます。
もちろん、アルミや亜鉛も鋳型できますよ。
ただ、マグネシウムは工程上、溶湯の酸化保護が難しく、発火・燃焼の危険性が
あるため扱う事ができません。
金型が硬いとは限らない?
ダイカストの金型はアルミなどの溶湯温度である約700℃でも、びくともしない硬度が
必要になります。
ですから、JIS規格SKD61クラスの鋼材を用いて、金型加工後には熱処理によって
さらに硬度を増します。
さらにさらに、溶湯の湯あたり部には大きなストレスが加わりますから、熱で金型が
痛まないように、特殊なコーティング処理をして表面を守る必要があります。
もう、かっちかちですね。
一方、ロストワックス鋳造の金型はワックスモデルを製作する事が目的ですから、
ワックスの溶湯温度に耐えてくれれば良い訳です。
そこで、ワックス溶湯温度ですが、約55℃です。
かなり熱い目のお風呂ってとこです。
ですから、ダイカストの様な強靭な金型は全く必要ないんです。
主にアルミ7000番台を使用しています。
材料詳細については別のコラム「ロストワックス鋳造金型について」で解説していますので
ぜひ、併せて読んでくださいね。
どんだけ貼り付けんねん!
さて、ワックスモデルが完成しいよいよ鋳型の製作です。
いやいやちょっと待って!
ワックスモデルひとつでいちいち鋳型作ってたら、コストが大変なことになってしまいます。
そこで、ワックスツリ—と呼ばれる”海ぶどう”の様な物を作って行きます。
注湯口(溶けた金属を流し込む入り口)のついたワックス製の棒状のランナーに
ワックスモデルを規則正しく貼り付けていくのです。
もちろん、モデルもランナーもワックス製ですから、熱したコテで少し溶かしてやれば
簡単に貼り付けることができちゃいます。
小さなモデルなら20個以上は貼り付けれるでしょうか。ほら”海ぶどう”想像したでしょ。w
ダイカスト金型で言うところの20個取り!
つまり、20個貼り付けて鋳型を製作すれば、一気に20個もの製品が鋳型できてしまいます。
数が増えるとロストワックス鋳造の鋳型は壊してしまうので、ランニングコストが高い!なんて
言われますが、比較的小さな製品であれば、超多数個取りする事でそれほど影響は受けないんです。
お手間取らせてお高いんでしょ?
ダイカストの工程は、金型設計が終われば、金型製作→鋳造→機械加工で終わっちゃいます。
一方、ロストワックス鋳造では、金型製作→ワックスモデル注型→ワックスツリ—製作→
セラミックコーティング→脱ロウ→焼成→鋳造→型ばらし→切断→矯正→機械加工。。。
なんと、これだけの工程が必須になってしまいます。
それも、そのほとんどが手作業になります。
「そりゃ、高いよな。。。」いやいや、ちょっと待って下さい。
確かに工程での費用はダイカストより高いかも知れませんが、
金型費用が雲泥の差なんです。
もちろんモノにもよりますが、ロストワックス鋳造モデル金型は数十万円程度と考えて下さい。
簡単な計算をして見ると、ロスワックス鋳造モデル金型費がダイカスト金型の1/3以下で有れば、
製品2000個以上でも、純粋な加工費1個のお値段はロストワックス鋳造の方が安いんです。
これが全てに当てはまるかは、難易度にもよりますが、概ね間違った計算ではありません。
さらに、アルミや亜鉛以外の金属で鋳造したければ、選択しない理由はないと思います。
やること多くてなかなかモノができてこないんでしょ?
さてさて、お値段はわかったよ。でも工程多くちゃリードタイム長いんでしょ?って
普通は思いますね。
しかしです。ダイカストの金型は硬くて加工は大変ですし、熱処理やコーティングなど
後処理も時間かかります。ですから、本型なら金型発注しても、できあがるまで
速くても1.5カ月くらいはかかるんじゃないですか。
でも、ロストワックス鋳造モデル金型ならその1/3以下でできてしまいます。
これらを考慮すると、新規部品で有れば300個くらいまでの生産で
待ち時間なしならロストワックス鋳造の方が早くできちゃうんですね。
では、リピート品は時間かかるでしょ。
うう、、、痛い所を突かれました。
でも、そこは商社機能も充実した「太陽パーツ」におまかせ下さい。
forecastさえ見えていれば、鋳型素材をストックし、お客様のご要望にあわせて
社内で迅速に機械加工を施します。
最後に
いかがでしたか?
ロストワックス鋳造とダイカストの違いをご理解いただけたでしょうか。
「太陽パーツ」では、ダイカストを生産し、あらゆる鋳造製法にも精通し、
なお且つ、商社機能として多くの実績を持つ当社の強みを最大限に活かして、
お客様に納得のご提案をさせていただきます。
ぜひ、一度「太陽パーツ」にご相談ください!
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