みなさん、こんにちは。ロストワックス技術コラムです。

今日は、ロストワックス鋳造でできるアンダーカット形状について語っていきます。

アンダーカットという言葉は、みなさん日頃から聞いていると思いますが、
簡単に説明すると、「二面型で抜けない形状」です。

ん？まだわからない？

では、「タイ焼きで、口の穴は作れないでしょ」ってことです。

そこで登場するのが、スライドと言われる金型構成ですね。
二面割の金型の割れ目の横から別の型（スライドコア）を突っ込んでいる構成です。

このスライドコアはアンギュラ―ピンと呼ばれる斜めに生えたピンに沿って
二面型が開くときに、スライドコアが横滑りすることで、真横に抜くんです。

だがしかし、スライドでもできない形状があるんですね。

例えば、二面型が開く移動量って限界がありますね。
アンギュラーピンはせいぜい２５度までで生えていますから、二面型に開く移動量をＸとすると
スライドコアの移動量Ａは、

Ａ＝X*sin２５ですね。

sin２５＝０．４２３ですから、二面型の開き量の４２％しかスライドコアによる
横穴は開けれません。

ですから、これ以上深い穴は基本的に作れないですね。

他にも、斜めにあいている穴はどうでしょう。
スライドコアは基本的には真横にしか抜けませんね。

こういう場合は、モーターなどで斜めに刺さったコアを抜く必要が出てきます。
やればできるが、金型代も高くなるし、できればやりたくないですね。

このほかにも、水道の蛇口のように斜めだけでなく、曲がっているし
二面型のそれぞれの方向から覗いても、穴が貫通しているのが見えない
いわゆる中空部材はどうでしょう。

当然ですが、二面型の両方から覗いて穴が見えないわけですから
両方から軸を突っ込めたとしても、軸同士が当接できませんから
穴にならないですね。

こうなると金型ではどうしようもありません。

そこで、我らが「ロストワックス鋳造」の出番となるわけです！

ロストワックス鋳造では、製品の形となるモデルをワックスで作ります。

まず、深い穴や斜めにあいた穴の場合ですが、ワックスモデルを作る金型構造に
ポイントがあります。

実はワックスモデルを作る金型は、強い圧力も、高い温度も加わりませんから
基本的には手動で、ネジ止めしている構造です。
金型を組むのも、ばらすのも手動でできるわけです。

となると、あちこちにあるあっち向いたり、こっち向いたりして刺さっているコアを
手で抜いてやれまいいのです。

つまり、抜く方向もその深さも自由に設計できて、その制約はほとんどありません。

次に、水道の蛇口のようなモノを作るとしましょう。

ワックスモデルも金型で作製しますから、先ほどの説明のように
曲がった、二面型両方から覗いても見えない穴形状は抜けません。

ところがどっこい！
曲がった穴のど真ん中で縦割りして、２分割したワックスモデルを作ってしまいます。

そして、出来上がった２分割されたワックスモデルを貼り合わせれば完成しますね。
簡単に言うと、プラモデルの飛行機の胴体を左右で貼り合せる様なものです。

そして、ワックスモデルは文字通りワックス（ロウ）でできていますから、
接着面を少し溶かしてやればワックス同士きれいにスキマ無くくっついてくれます。

これで金型では絶対に抜けないようなアンダーカット部材のワックスモデルが
簡単に出来てしまうわけです。

ワックスモデルさえできてしまえば、後はロストワックス鋳造工程に流すだけで
水道の蛇口が出来上がります。

最後に

いかがでしたか？
ロストワックス鋳造では、どんなアンダーカットのある部材でも、作れない形状は無いと
言っても過言ではありません。

さらに、ロストワックス鋳造では鋳造材料の選択肢も非常に広くて、貴金属から鉄、アルミ、
黄銅、チタンと、マグネシウム以外ならなんでも来い！です。

さらにさらに、砂型鋳造のように面肌がざらざらする事もありませんし、精度も遥かに
良く、比較的薄肉にも対応出来ます。

「これが鋳造でできたらなぁ。。。」なんて悩んでいる暇があったら（あ、失礼^^;）
「太陽パーツ」にご相談ください。

最適なロストワックス鋳造も含めて、あらゆる製造方法の中から、最適な製法を
ご提案させていただきます！