中国でのロストワックス鋳造|調達のメリット・注意点と品質・コスト・納期の考え方
「ロストワックス鋳造品のコストを下げるために、中国メーカーからの調達を検討している。ただ、品質や納期が心配だ」。このようにお考えの購買・調達ご担当者も多いのではないでしょうか。
中国でのロストワックス鋳造は、うまく活用すれば大きなコストダウンにつながります。一方で、単価の安さだけで判断すると、不良対応や納期遅延によって、かえってコストが膨らむこともあります。このコラムでは、中国の上海と大連に工場を持つ太陽パーツが、中国調達のメリットと注意点、そして品質・コスト・納期をどう考えればよいかを、実際の事例とあわせて解説します。
中国でロストワックス鋳造を行うメリット
手作業の多い工法だからこそ、コストメリットが出やすい
ロストワックス鋳造は、ワックスモデルの成形、ツリーの組立、耐火材のコーティング、型ばらし、切断といった多くの工程があり、手作業の多い工法です。製造コストに占める人手の割合が大きいため、海外生産によるコストメリットが出やすい工法といえます。
当社の事例でも、溶接による複合品だった計測機器用のセンサー蓋をロストワックスで一体成形し、当社の中国工場にて鋳造から後加工まで一貫して対応することで、70%のコストダウンを実現しています(詳しくは後述します)。
「中国に出せば安くなる」時代ではなくなっている
ただし、中国で生産すれば自動的に安くなる、という時代ではありません。現在の海外は、賃金・物価ともに日々上昇しています。そのなかでコストメリットを出すには、生産地を変えるだけでなく、VA/VE(設計や工法の見直しによる価値向上・コスト低減)とあわせて取り組むことが重要です。
たとえば、溶接やネジで結合していた複数部品をロストワックスで一体化する、切削加工の取り代が大きい部品を鋳造化して材料費を減らす、といった工法変換です。「中国生産」と「工法変換」を組み合わせることで、より大きなコストダウンが期待できます。
中国調達で押さえておきたい注意点
海外調達で重要なポイントは、品質の確保です。より安く、安定した品質のものを海外で製造するには、海外事情に精通し、海外のものづくりと品質管理を十分に知る必要があります。具体的には、次の点を事前に確認しておくことをおすすめします。
1. 品質:誰が、どこで、どのように検査するのか
中国メーカーへ直接発注する場合、図面の解釈や検査基準のすり合わせ、出荷前検査の確認は、基本的に発注者側で行うことになります。鋳造品は、寸法だけでなく、鋳巣や湯回り不良といった鋳造欠陥、歪みの管理も品質を左右します。現地で誰が検査し、不良をどの段階で止めるのか、その仕組みまで確認することが大切です。
2. コスト:単価ではなく総コストで比較する
見積の単価が安くても、輸送費、検査や不良対応にかかる社内工数、納期遅延に備えた在庫などを含めると、想定ほどの差が出ないことがあります。中国メーカーの価格を比較する際は、製品単価だけでなく、金型費を含めた初期費用と、手元に届いて使える状態になるまでの総コストで判断する必要があります。
なお、ロストワックスの金型は、ダイカストと比べて製造コストを抑えやすいことが特長です。初期費用の負担が比較的小さいため、小ロットの部品でも工法変換を検討しやすい工法です。
3. 納期:輸送期間と、トラブル時の対応力を見込む
海外生産では、製造のリードタイムに加えて輸送期間がかかります。また、現地の長期休暇の時期は、生産や物流が止まることも考慮しなければなりません。さらに重要なのが、不具合が発生した際にどれだけ早く原因を特定し、対策品を手配できるかです。現地に管理体制がない場合は、やり取りに時間を要し、対策が遅れるおそれがあります。
4. コミュニケーション:仕様の「行間」が伝わるか
図面に書ききれない外観の基準や、機能上重要な寸法の意図は、言語や商習慣が異なると伝わりにくくなります。立ち上げ時に仕様を正確に伝え、量産後も情報を密に共有できる窓口があるかどうかが、安定調達の分かれ目です。
中国でのロストワックス調達に関するご相談を承ります 図面をもとに、工法の見直しを含めた最適な方法をご提案します。オンラインでのお打ち合わせも可能です。 >>お見積り・お問い合わせはこちら
太陽パーツの海外生産体制:「中国の価格で日本の品質、日本のサービス」
ロストワックス鋳造.comを運営する太陽パーツは、ロストワックスメーカーであるとともに、ダイカストメーカー、部品商社としても活動しています。メーカー機能と商社機能を併せ持つ技術集団として、長年の海外生産で培ったノウハウと情報網を有しており、「中国の価格で日本の品質、日本のサービス」を掲げています。中国には上海と大連に工場があり、前章で挙げた注意点に対して、次のような体制で対応しています。
大連工場:社内での機械加工で、不良を外に出さない
大連工場では、社内で機械加工を行うことにより、素材不良などの是正および対策のルールをつくり、不良を発見して外に出さない仕組みを構築しています。表面処理に関しては海外の協力工場とタイアップし、部品完成品として検査確認したうえでお客様にお届けしています。
また、日本の技術者が統括することで、どのような状況にも即座に対応できる体制をとっています。
上海工場:検査専任スタッフによる検査と、取引先工場への指導
上海工場は、プレス・板金・切削・溶接・組立などを社内で行い、社内で生産できないものは現地の協力工場から調達している拠点です。海外には100社以上の、さまざまな分野に対応する協力会社があります。
上海工場では、お客様の要望品質にお応えできるよう、検査専任スタッフと豊富な検査道具をそろえ、充実した検査体制を整えています。出荷前の検査はもちろんのこと、取引先工場への品質指導と技術指導を繰り返し行い、不良率0%を目指しています。
納期:日本国内取引レベルの納期厳守がモットー
お客様と当社管理スタッフとの密な情報共有により、日本国内取引レベルの納期厳守をモットーとしています。
最適工法の提案:ロストワックスに限らず検討できる
太陽パーツは、ロストワックスメーカーであると同時に、ダイカストメーカー、部品商社としても活動しており、多様な工法を熟知しています。「中国でロストワックス」と決め打ちするのではなく、数量や要求品質によっては他の工法を含めて、お客様の課題を解決できる方法をご提案します。
中国メーカーへの直接発注と、太陽パーツ経由の違い
| 比較項目 | 中国メーカーへ直接発注 | 太陽パーツ経由 |
|---|---|---|
| 窓口 | 現地メーカーと直接やり取り | 太陽パーツ(本社および国内の各営業所)が窓口。オンラインでの打ち合わせも可能。 |
| 仕様のすり合わせ | 基本的に発注者側で実施 | 多様な工法を熟知した営業担当が対応。場合によっては技術部隊が設計提案を含めて対応。 |
| 品質の確保 | 発注者側で基準の提示と確認を実施 | 大連工場の社内で機械加工を行い、不良を発見して外に出さない仕組み。 |
| 不具合時の対応 | 現地メーカーとの交渉が必要 | 日本の技術者が統括。是正および対策のルールに基づき対応。 |
| 後加工・表面処理 | 別途手配が必要な場合がある | 機械加工は大連工場の社内で対応。表面処理は海外の協力工場とタイアップし、部品完成品として検査確認のうえ納品。 |
直接発注には、中間のコストがかからないという利点があります。すでに海外調達の体制や経験をお持ちの企業であれば、有効な選択肢です。一方、品質管理や貿易実務にかける人員が限られている場合は、検査や不具合対応まで含めて任せられる調達ルートのほうが、結果として総コストを抑えられる場合があります。
中国工場・海外生産を活用したロストワックスの事例
事例1:計測機器用センサー蓋(中国工場で一貫対応、70%のコストダウン)

計測機器に使用されるセンサー蓋(SCS13、Φ30×30、500個/年)の事例です。従来は、レーザーで板金加工を行ったあと、旋盤でネジ部を成形した部品を溶接して製造されていました。機械加工では一体で製作できない部品であったため中心軸がずれることがあり、精度面の課題に加えて、コスト面の課題もありました。
生産量・品質・材質を考慮してロストワックスでの一体成形をご提案し、当社の中国工場にて鋳造から後加工まで一貫して対応いたします。品質の課題をクリアするだけでなく、70%のコストダウンを実現しました。納期は、金型作成から1stショットまで3.5ヶ月です。
事例2:産業車両用取り付け座(海外生産への切り替え、50%のコストダウン)

産業車両に搭載される取り付け座(SCS13、150×60×20、50個/月)の事例です。従来は7部品を溶接して製造されており、外観品としてバフ仕上げが必要でしたが、溶接後のバフ研磨ではきれいに仕上がらず、精度のばらつきが大きいことも問題になっていました。
ロストワックスでの一体成形に変更したことで、外観品質と精度の課題をクリア。一体成形による製造工数の低減と、海外生産への切り替えにより、製造コストを50%削減しました。納期は、金型作成から1stショットまで3ヶ月です。
どちらの事例も、年間の数量は数百個規模です。海外生産というと大ロットを想像されるかもしれませんが、工法変換と組み合わせることで、小ロットの部品でもコストダウンを実現できることを示しています。
まとめ:中国調達は「価格」だけでなく「体制」で選ぶ
中国でのロストワックス鋳造は、手作業の多い工法の特性からコストメリットが出やすい一方、品質の確保、総コストでの比較、納期とトラブル対応、コミュニケーションといった点に注意が必要です。調達先を選ぶ際は、提示された価格だけでなく、「誰が検査し、不具合が起きたときに誰が動くのか」という体制まで確認することをおすすめします。
太陽パーツは、中国に構える工場と、日本の技術者による統括、不良を発見して外に出さない仕組みによって、「中国の価格で日本の品質、日本のサービス」の実現に取り組んでいます。現在、国内で調達している部品のコストダウンを検討されている方も、すでに中国から調達していて品質や納期に課題を感じている方も、まずは図面をもとにご相談ください。切削加工図面や鋳物図面しかない場合でも、お見積りは可能です。
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