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マグネシウムダイカストの特徴と素材について

2022.05.27

みなさんこんにちは。ダイカストコラムです。
今日はマグネシウムダイカストについてご紹介したいと思います。

マグネシウムの材質特性

みなさんもご存じのように、ノートパソコンやカメラの筺体はどんどんマグネシウム化していってますね。それはなぜかというと、何よりも軽くて強いからなんですね。

具体的にダイカスト材料での比重比較をすると、

  • マグネシウム(AZ91D)=1.8g/cm3
  • アルミニウム(ADC12)=2.7g/cm3
  • 亜鉛(ZDC2)     =6.6g/cm3

どうですか。なんと亜鉛の73%軽く、アルミの33%の軽さです。
では、どれだけ強いかをブリネル硬さで比較しましょう。

  • マグネシウム(AZ91D)=63
  • アルミニウム(ADC12)=54
  • 亜鉛(ZDC2)     =82

アルミより17%位硬いと言えます。「えー、たったの17%だけかよ!」と思われたあなた。ちょっと待って!硬さだけが強さを表す訳では無いですね。いわゆる剛性と言われるやつで考えてみましょう。剛性は3種類の指標から判断されるべきってご存知でしたか。意外と知られていないんですが、紹介しましょう。

  1. 軸剛性
  2. 曲げ剛性
  3. せん断剛性

それぞれを簡単に説明しておきますね。

軸剛性

まず一つ目、軸剛性です。
軸剛性は棒材料で言うと、長手方向の強さを示します。つまり”縦弾性係数”(ヤング率)です。ではヤング率の比較をしてみましょう。

  • マグネシウム(AZ91D)=45GPa
  • アルミニウム(ADC12)=71GPa
  • 亜鉛(ZDC2)     =89GPa

マグネシウムがアルミより37%も伸びにくいという事になります。

曲げ剛性

二つ目の、曲げ剛性を説明します。
曲げ剛性は棒材料で言うと、材料力学で言うところの梁と同じで両端支持して曲げる強さです。つまり”横弾性係数”ですね。なかなか数値を書いている資料は少ないのですが、ヤング率とポアソン比さえ分かれば計算で出せます。
計算式は、横弾性係数G=ヤング率E/2(1+ポアソン比ν)です。

まずポアソン比νは、

  • マグネシウム(AZ91D)=0.35
  • アルミニウム(ADC12)=0.28
  • 亜鉛(ZDC2)     =0.3

計算すると、横弾性係数Gは、

  • マグネシウム(AZ91D)=17GPa
  • アルミニウム(ADC12)=28GPa
  • 亜鉛(ZDC2)     =34GPa

曲げに関しては、マグネシウムはアルミに対して39%曲がりやすい事になります。「あれ!曲がりやすいって柔らかいじゃん!」数値だけ見るとそう思われるのですが、ここを上手く解説できている記事が非常に少なく誤解を招く事が多いのです。その解説の前に、最後、三つ目がせん断剛性を先に説明します。

せん断剛性

これも計算で求めます。
計算式は、せん断剛性K=横弾性係数Gx断面積A/長さL
つまり、同じ部材で有れば、横弾性係数比になるわけですね。

マグネシウム(AZ91D):アルミニウム(ADC12):亜鉛(ZDC2)=1:1.6:2

マグネシウムはアルミに対して、39%せん断破壊しやすい事になります。これらをまとめると、

「マグネシウムは表面硬度が高く、伸びにくく、曲がりやすいけど、割れやすい つまり、剛性はあるが、比較的に脆い」

という事になります。

何かに例えようと探したのですが、ないんですよね。w
みなさん、目をつぶって想像してみて下さいね。

マグネシウムダイカストの特徴

さて、材料の特性が長くなってしまいましたが、鋳造性について解説します。
マグネシウムダイカストの鋳造方法は、アルミの鋳造方法と同じです。違いは溶湯温度が少しマグネシウムの方が低いんですね。アルミは720℃くらいでしたが、マグネシウムは625℃くらいなので100℃近く低くできます。また、溶湯の粘度が低いため、薄肉成形が可能です。ある程度広い面積になると、アルミだと0.8mm程度が限界かもしれませんが、マグネシウムなら0.5mm程度でも成形できます。さらにチクソキャスティング鋳造を行えば、これら薄肉鋳造においても鋳巣の少ない成形も可能になります。

ですから、冒頭で紹介した電子機器の筺体だけでなく、構造部材のアルミダイカストからの置き換えも積極的に始まっています。例えば、車のドアロックのキーシリンダーによる軽量化は進んでいます。ただし、課題が無いわけではありません。120℃を超える様な高温下での使用は、クリープ現象を起こしやすく、また、アルミニウム・鉄に比べ、イオン化傾向が高いため、腐食しやすい金属なんです。つまり、イオン化傾向の異なる金属と接触する事で、電位差を生じて腐食する現象ですね。

この腐食を「ガルバニック腐食」と呼びます。さて、腐食しやすいという性質は、鋳造後でも同じことが言えます。鋳造後に表面処理をすることなしに、放置すると空気中においても腐食が始まります。したがって、亜鉛(Zn)ダイカスト同様に、鋳造後の表面処理は必須の工程となります。マグネシウムダイカストの場合は、電着塗装を主として行います。これによって、外観筺体などにも安心して使用できるわけですね。

ただし、マグネシウムはメッキが難しい材料としても有名です。ですから、一般的に世に出回っているマグネシウムダイカストの外観部材はほとんど塗装を施しています。したがって、デザイン的にプラスチックでもできるような造形だと、苦労してお金かけた割に「なんだよ、プラッチックかよ!」と言われます。w

さて、話しの流れで、鋳造が終わった後の話を飛ばしてしまいました。機械加工による後加工のお話です。ここで、みなさん小学校の時の実験を思い出して下さい。マグネシウムの繊維を燃やしたことありますよね。あの一気に燃え上がる様には、ちょっと恐怖を覚えたと思います。

そうなんですね、マグネシウムは非常に燃えやすい金属です。

ただ、マグネシウムの塊に火を付けても、そう簡単に燃えるものではありません。この機械加工による切削くずのように、細く小さなマグネシウムがとても危険なんですね。ですから、マグネシウムの機械加工は、それなりに経験が必要になりますし、万が一、火が出たときの対処法を知っていないと大変なことになります。マグネシウムが燃えても、水では消えません。とにかく砂をかけて酸素の供給を断つしかないのです。みなさんも安易に削ったりしないでくださいね。

最後に

まあ、色々と扱いの難しいマグネシウムダイカストですが、何と言ってもその「軽さ」「剛性」「薄肉成形性」を考えると、絶対に使いたい材料と言えます。最近の時流に乗り遅れないためにも、マグネシウムダイカストの採用や変更を考えてみませんか?

もちろん「太陽パーツ」では。マグネシウムダイカストでも「カセットダイカストシステム」を活用できますから、初期投資は最大限に縮小できます。ぜひ、一度ご相談ください。最適なご提案をさせていただきます。

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