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材 質 material

アルミニウム

鋳造におけるアルミニウムとは?

アルミニウムは軽量で熱伝導性が良く、耐食性、リサイクル性に優れた材質で、外観も美麗という特徴があります。元来鋳造のしやすい素材のため熱処理により調質も可能で状況に応じた機械的性質のバリエーションが豊富な材質といえます。耐熱性には劣りますが鉄鋼材質の比較して軽量化を図ることができます。

アルミニウムを材料とする場合に選定される工法

  • 砂型
  • ダイカスト
  • グラビティ
  • ロストワックス
  • 石膏鋳造

アルミニウムの種類と特徴

アルミニウム合金は種類によって特性が異なります。
各材質の特徴は以下の通りです。

▼ 横スクロールでご確認ください
材 質特 徴
AC1A銅が入っている為、高強度です。ただし鋳造性が悪いので、製造時に起因する不良には要注意です。耐食性もよいほうではないため、各種腐蝕にも留意が要ります。
AC1BAC1Bはアルミに銅を主要添加元素としたアルミ合金鋳物(Al-Cu系)で、機械的性質に優れます。また切削性も良好ですが、鋳造性には難があります。
AC2AAC2Aは鋳造性のよさで知られるアルミ鋳物で、合金としてはCuとSiをベースにしたタイプです。銅を含むことから、含まないものに比して耐食性にはやや劣ります。
AC2BAC2Bはラウタルと称呼されるアルミ合金鋳物の一種で、鋳造性のよさから一般にもよく使われる鋳造用材料です。シリコンと銅をベースにしたAl-Cu-Si系の合金です。Cuにより高強度で耐熱性も比較的良好です。
AC3AAC3Aはシルミンの名で知られるAl-Si系の合金です。流動性に優れるとともに耐食性にも長けた材種ですが、耐力が低いという難点があります。
AC4AAC4Aはガンマーシルミンの名で知られるアルミ合金鋳物で、シリコンとマグネシウムを含有したAl-Si-Mg系の材料です。鋳造性は良好で、靭性にも優れるため、大型の強度が必要な鋳物材料として使われます。
AC4BAC4Bは含銅シルミンと称呼されることもあるアルミ合金鋳物で、その名の通りシルミンに銅元素が添加されたタイプ(Al-Si-Cu)の材料です。鋳造性に優れており、引張強さも比較的高めですが、伸びの値は低い素材です。
AC4CAC4Cは鋳造性が良好なAl-Si-Mg系のアルミ合金鋳物です。Cuを含まないため、耐食性にも優れ、耐圧性もあります。
AC4CHAC4CHの末尾のHは加工硬化調質であることを示す記号です。AC4Cを処理したアルミ鋳物になります。鋳造性や機械的性質に優れた高級鋳物とされています。
AC4DAC4DはAC4Bよりも熱処理後の強度が高くなるAl-Si-Cu-Mg系の合金種で、耐熱性とともに、靭性にも優れる材料です。鋳造性が良好、機械的性質に優れ、耐圧性が求められる部材でも用いられます。
AC5AAC5Aは別名Y合金とも言われるAl-Cu-Ni-Mg系のアルミ合金鋳物で、高温環境下での引張強さに優れた材料ですが、反面、鋳造性には難があります。
AC7AAC7Aはヒドロナリウムとも言われるAl-Mg系のアルミ合金鋳物で、耐食性に優れる材料です。靭性とともに陽極酸化性も良好な材種です。ただし、鋳造性には劣ります。
AC8AAC8Aは熱膨張係数(thermal expansion)が小さいことから、ローエックス合金やピストン合金とも称されるアルミ合金鋳物です。Al-Si-Cu-Ni-Mg系の合金で、耐熱性・耐摩耗性に優れています。
AC8BAC8BはAC8Aと同系統であるAl-Si-Cu-Ni-Mg系の合金で、別名ローエックスとも呼ばれる低熱膨張型のアルミ鋳物です。
AC8CAC8CはAC4Dにニッケルと加え、添加されているSiの量を増やしたタイプの合金で、熱膨張による影響が比較的少ない材料です。耐熱性、耐摩耗性に比較的優れたアルミ鋳物です。
AC9AAC9Aはローエックス合金と呼ばれる熱膨張の小さなアルミ合金鋳物です。耐摩耗性に優れますが、切削性や鋳造性はあまり良くありません。
AC9BAC9Bは熱膨張の少ないアルミ鋳物で、ローエックスとも言われます。シリコンを18から20%程度含有する合金です。耐熱性も良好です。
ADC1鋳造性のよさ、耐食性のよさに際立った特徴を持つアルミダイカストで、通常のアルミ合金の鋳物ではAC3Aが近い組成を持ちます。
ADC3アルミダイカストのうち、シリコンとマグネシウムを主成分に含んだAl-Si-Mg系のアルミ合金となります。性能としては、機械的性質と耐食性がよいことが知られますが、鋳造性についても、鋳造割れ性については優れた特性を示します。
ADC5アルミダイカストとしては耐食性に特化したタイプで、マグネシウムをベースにしたAl-Mg系のアルミ合金です。アルミ合金ダイカストの中では最も耐食性に優れます。
ADC6アルミダイカストとしては、マグネシウムをベースにしたAl-Mg系の合金で、ADC5に次ぐ耐食性の高さを持ちます。
ADC10ADC10は、アルミダイカストのうちAl-Si-Cu系合金で、Siを多めにすることで鋳造性をあげたタイプです。
ADC10ZADC10Zは、鋳造性や機械的強度などアルミダイカストとしてはADC10と似た性質をもちますが、不純物として亜鉛を含み、鋳造割れ性、耐食性にやや劣る傾向があります。
ADC12ADC12はアルミダイカストとしては機械的性質、被削性、鋳造性いずれも高いレベルでバランスのよい合金タイプです。アルミダイカストの生産量のうち、おおよそ90%以上がこのADC12といわれており、ほとんどが自動車用部品に使われています。
ADC14ADC14は強度、耐摩耗性に優れたタイプのアルミダイカストで、特に高温下での強度も他のタイプと比べて最も良好です。合金系としては、シリコン、銅、マグネシウムを合金元素としたAl-Si-Cu-Mg系アルミ合金です。
HT-1HT-1とは、アルミニウム合金の一種で、ダイカスト用高熱伝導合金です。一般的なダイカスト合金であるADC-12に比較して、非常に高い熱伝導性が得られます。
HT-2HT-2は、組成がAl-2%Fe-1%Cuからなるダイカスト用高熱伝導合金です。Feは焼付き防止効果があり、Cuは強度を上げる効果を発揮。高熱伝導率を得るため、不純物成分は低含有量となっています。
DM-2DM-2は、引張強度の低さをネックとしますが、アルマイト性・耐食性に優れている優秀なアルミニウム合金です。

アルミニウム合金の特徴

1. 軽量である

材質の特徴として、軽量であることから広い分野で活用されています。一般機械や船舶部品、自動車部品、航空機部品など大きいものから小さいものまで採用されています。

2. 耐食性に優れる

軽量だけでなく、強度や耐食性にも優れています。さらに、表面処理などを行うことにより耐食性や耐摩耗性を向上させることも可能です。

3. 熱伝導性が良い

アルミニウムは熱伝導性が高いため、放熱材として活用されます。そのため、冷暖房装置やエンジン部品、各種熱交換器等に利用されています。

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