アルミダイカストの表面処理
みなさん、こんにちは。ダイカスト技術コラムです。
今日は、アルミダイカストの表面処理について語っていきたいと思います。
アルミダイカストの約90%は「ADC12」アルミダイカスト材ですね。
でも、このADC12はダイカスト材の中でも耐食性が劣る方なんです。
どのように耐食するかと言えば、室外での使用において白錆が発生します。
内部まで浸食する事はほとんどないですが、見た目に美しく無いですね。
そこで、表面処理による対策の登場です!
その代表的な方法は以下の4種類です。
- めっき
- アルマイト
- 化成処理
- 塗装
それでは、それぞれの特徴などをお話ししましょう。
1.めっき
めっきと言っても多種多様な物が存在する事はご存じですね。
アルミへのめっき性は悪くないので、さまざまなめっき処理が可能です。
ただし、最表層のめっき材の安定した密着性を確保するために
ニッケル下地めっきや銅下地めっきをおこなうことが一般的なんです。
では、代表的なめっきをご紹介しましょう。
<クロムめっき>
「硬質めっき」と「装飾めっき」があります。
「硬質めっき」は数十~数百μmの厚い膜厚でめっきします。
ですから、耐摩耗性があり、低摩擦係数を求められる摺動箇所に適します。
さらに、摺動特性を上げるためにテフロン(PTFE)を含有させる特殊なクロムめっきもあります。
「装飾めっき」は下地ニッケルめっき後に1μm程度の薄いクロムめっきをほどこすことで
ニッケルの光沢によってクロム独特の光沢を際立たせるめっきです。
これら白色(銀色)のめっきは一般的によく知られていますが、
やはり、黒いめっきも欲しくなるのが人情というもの。
そこで登場するのが、「六価クロムめっき」と「三価クロムめっき」になります。
「六価クロムめっき」はわずかに青みがかった漆黒の光沢のある美しいめっきです。
身の回りにあるモノでは、40年くらい前までのカメラの黒ボディなどです。(ふるっ!)
「三価クロムめっき」は、少しグレーっぽくなり漆黒にすることが難しいめっきです。
「じゃ、六価クロムでいいじゃん!」と思われるでしょうが、
六価クロムは接触アレルギーをひきおこしたり、強い発がん性を持つ有害物資なんです。
欧州では完全撤廃となり、国内でもそれに準拠しています。
ただ、上述のように漆黒の装飾性の良さなどから、海外では極一部で処理が可能です。
ただし、車などの戸外で使用する機器では、酸性雨などの影響で含有されている六価クロムが流れ出て、
土壌汚染などを引き起こす場合があり、今後ますます撤廃の動きは加速されるでしょう。
<銅めっき>
ご存じのように銅は電気伝導率や熱伝導率にすぐれ、さらに電磁波シールド効果もあるため
エレクトロニクス分野の機器には欠かせないめっきとなっています。
比較的、機器内で用いられる部材になるため、外観品質や摩擦など機械的刺激が少ないため
表面強度が弱い銅めっきでも、ダイレクトに単層でめっき加工できます。
そのめっき方法は、静止めっきだけでなくバレルめっきも可能なため、低コスト化も可能です。
<スズめっき>
スズと言えば、半田の主成分ですね。
ということは、電気的に半田付けしたい部材などに、半田の濡れ性を良くするために施されます。
また、スズは耐食性に優れているわりに、柔らかく、意外ですが毒性が低いという金属です。
ですから、この特性を活かして、曲げて使用する部材やコネクタなどに使用できます。
これらの他にも、銀めっきや無電解ニッケルめっきなど様々なめっき処理が可能です。
2.アルマイト
アルミダイカストのアルマイト処理は難しいと聞いたことがあると思います。
アルミダイカスト材にはアルミ素材に比べて、鋳造性を良くする為に、ケイ素が含有されています。
このケイ素(シリコン)は、アルミダイカスト部材表面に被膜を形成しやすく、その被膜には
アルマイトが乗り難いため、均一なアルマイト処理が難しいわけです。
アルミダイカスト材のケイ素の含有規格は以下のようになっています。
「ADC1:11.0~13.0%」
「ADC3;9.0~11.0%」
「ADC6:1.0%以下」
「ADC12:9.6~12.0%」
つまり、アルミダイカスト材で約90%も使用されているADC12は最もケイ素含有が多い部類になります。
ただ、アルマイトができないわけでは無いので、使用用途によってはアルマイト処理がされています。
例えば、表面強度が必要無部材や耐食性が必要な部材などです。
ただし、均一なアルマイト被膜が難しいため、複雑な形状の部材で装飾目的のアルマイトは、
歩留まりやコスト面であまりおすすめできません。
3.化成処理>
一般的によく耳にする「クロメート処理」になります。
白クロメートと黒クロメートがあり、クロメート化成処理を行うことにより、
部品や製品の表面に酸化皮膜を作ってコーティングする方法です。
表面にできる膜は薄いのため、その状態のままではなく、さらに別の処理をするための
下処理として利用されていることが多い表面処理です。
4.塗装
アルミダイカストへの塗装では、その密着性や外観不良などが課題となります。
外観不良は、塗装そのものの技術や塗装環境などがほとんどの原因となりますが、
ここで一番の課題は、密着性に対する対応になります。
密着性を上げるためには、何よりも前処理工程をいかに緻密に丁寧に仕上げるかにかかってきます。
一般的に塗装において、脱脂処理が重要なことはご存じと思いますが、脱脂することにより
表面はより純度の高いアルミダイカスト材の無垢状態になりますね。
つまり、酸化がすぐに始まってしまいます。
ですから、ずぐに化成処理によるコーティングを行うことも必要になります。
その上で、丁寧な塗装と、焼付工程によって美しい塗装が可能になるのです。
最後に
いかがでしたでしょうか?
「アルミダイカストは表面の見た目がなぁ。。。」なんてお悩みのみなさま。
ぜひ、「太陽パーツ」にご相談ください。
最適な表面処理をご提案させていただきます!
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